後輩の希望で行ったガールズバーに、俺もハマりそう
名前:メガソルト 年齢:30歳
俺はかつてキャッチもしていた元黒服で、いまは製紙工場で日々フォークリフトに乗る作業員になった。夜の世界は意外と精神的に疲れるのと、あとは昼夜逆転生活が当たり前になる。
このままだと年を取った時に転職が厳しくなると危惧を覚えたので、思い切ってのスイッチだった。
そして月日は流れ、今の職場での勤務経歴は5年目になる。後輩もでき、俺を兄貴と慕ってくるのが居て、仕事の休憩中にしゃべる機会が増えた。
お互い喫煙者なのだが、後輩がライターを切らしていたので俺が点けてあげたところ「兄貴って元ホストみたいですね、ひょっとして元々そういう仕事をしていました?」と突っ込まれた。
キャバクラのボーイだよと誤解を解いたのだが、後輩はどうやら女の子が居る店に行きたいようだ。24歳で、性格はややネガティブ、テレビドラマでいうと脇役専門でモテないオーラも出ている。致命的なのは女性社員と話すだけなのに、吃りが常に出ているところか。
気に留めている中、ある日の午後、体が異様に重くきつかったので俺は珍しく早退をした。結局風邪だったのだが2日半ほど仕事を休んでしまい、その間は後輩に迷惑をかけてしまった。
俺の分まで負担させてすまなかったと詫びたのだが、まったく嫌な顔をしなかったので、何か奢ってあげようかなと決めた。
「居酒屋とキャバクラだとどっちが良い?」と聞いたら、最近話題のガールズバーに行ってみたいというので、快諾した。
久々の夜の街だなと懐かしさが蘇り、当時のトラブルごとなども思い出したが、客として行くので気も楽になっている俺。一応下調べはして、後輩の年齢と同じ20代前半の子がメインの店に決めていた。
入るとブルーの照明で、お洒落BARのような内観で俺も気分が高揚する。行ったのは平日なのだが、ガールズバーは金曜・土曜が混むので、客が多いのが嫌なら週末は避けなくてはいけない。
カウンター内に1人の女の子が居たが、すぐに2人目が出てきて俺たちについてくれた。21時がOPENの時間で、同時刻に合わせていたのも正解だった。
先客はたった1人なので、合わせて店内には客が俺たちを含めて3人のみ。飲み放題だったのでまずは俺と後輩はビールを頼み、俺にはIさん、後輩の方はMさんがついた。
後輩はうじうじとしていたので「こいつはガールズバー初めてで、話下手だからいろいろリードしてあげてね」と伝える。
さて、俺は俺でしばらく女性とは社内以外で話すのがご無沙汰だった。また工場は、悲しいことに美女が少ない。
だから今回訪れたガールズバーで、俺たちについてくれた2人が両方可愛いものだから気分も上がる。Iさんに働いてどれくらい経つのかを聞き、将来の夢なども尋ねてみた。
どうやら人気No.1だったらしく、ガールズバーはあと少し続けたあとキャバクラに行くか風俗に行くかで悩んでいるようだ。そして金を相当貯めたあとに日本を離れ、マレーシアへ移住したいのだという。
なぜかを聞いてみると、日本は税金が高すぎることと圧迫感を感じる模様。また東南アジアは日本のようにギスギスしていない、独特の空気感が良いらしい。
いっぽうで後輩の話にも耳を傾けてみると、料金体系が安くて驚いていたようだ。確かにそれはそうで、1時間が3,000円なのだからもっと早く来れば良かったとニコニコしている。
続けて、後輩についたMさんは「吃りが気になるなら、とことん相手の目を見て話すと、次第になれていくよ。何事も前向きにやってみて」と、まるで恋愛相談室ばりにレクチャーしていた。
ここでMさんが後輩に対し、随分とエネルギーを消費しているように見えたので、2人にスタッフドリンクをオーダーしてあげた。
「先輩はフォローが上手だから、俺も咄嗟にこんな事ができるようになりたい」と言っていたな。
なお、1杯1,000円で合計2,000円だが、1時間で飲み放題も加えて1万円行かないのはやはりガールズバーの良い点だろうか。あと、今回は後輩に借りがあったのと、明らかに延長したい風に見えたので延長もすぐに応じた。
すると後輩についているMさんが「ほんとお兄さん手際がいいねえ」と俺をべた褒めし始めたので、いかんいかん、後輩をとことん立ててやらなければと、少し黙ることにした。
まあ気は遣うものの、こうやって後輩が喜んでいる姿を見るのも楽しい。加えて俺の方も目の保養になるし、格安にもかかわらず2人とも接客が良いので気分も良い。そうして延長が終わり店を後にしたが、後輩は大満足のようだった。
「兄貴、会話の修行になりました」と言っていたので「次からお前1人で行ってみろよ、もう慣れてきただろう」と助言した。
俺は1人で店に行くのが好きだが、個人的にもガールズバーはたまに行くなら良いなと感じた夜だ。